【本】一階化粧品売場

『一階化粧品売場』

概要

初めて一人で作った、かつ、初めて即売会に参加した本です。大学の漫画研究会のとき描いていた漫画と、『ネオ処方箋』に載せた自分の作品を再録しています。イメージより表紙の色が薄かったり、描いた時間順に並べたのでこれといった流れがなかったり、いろいろ反省点もありましたが、でもなにしろ最初の作品なので……本が出来上がったときは感動的でした。

収録

「わたしは」
「名前」
「鳳凰記」
「お祭りのひ」
「てんし・あくま」
「なく」
「楽しい未来」
「君の病気はここでないと治せません」
4コマ漫画
「土手の向こうに」
「月夜のドライヴ」
「塀の上で」
「酔いどれダンス・ミュージック」
「薬屋さん」

基礎データ

定価:600円(新刊時) 判型:A5 頁数:106ページ 発刊:2021年10月17日 装丁:著者自装

印刷データ

印刷:株式会社ホープツーワン 綴じ:右 方式:オンデマンド 用紙:表紙「オリジナル エンボス サンバ シルク」、本文「コミックルンバ 白」 遊紙:空(水色)、前後とも

イベント

名称:関西コミティア62 日程:2021年10月17日 場所:京都パルスプラザ(京都府京都市伏見区) 

サークルカット、ポスター

サークルカット。
ポスター。そういえばF-49でした。

作品紹介

「わたしは」

所属していた漫画研究会には「コピー本」と「部誌」がありました。コピー本は部内(会内?)だけで楽しむ本、部誌は年2回ある学園祭で販売する本、です。この「わたしは」は漫研に入って最初に描いた漫画で、「わたし」をテーマにしたコピー本に掲載してもらいました。自分の漫画がコピー紙とはいえ、印刷され増殖していくのがうれしかったです。たぶん高野文子さんの漫画にいちばん影響を受けていた時期で、今見るとなんでそんなコマを描いたんだろう? という感じもあります。

「名前」

1回生の秋、部誌に描きました。部誌は同人誌印刷会社で印刷・製本を行っていたので、初めて会社で印刷・製本された漫画です。なのでこの線は印刷されるのか? とかスクリーントーンはどんな感じになるのか? など不安でしたが予想よりきれいに印刷されてうれしかった覚えがあります。今読むとすごく良い話で、どうして今の自分はこんなに暗くなってしまったんだ……と思うばかりです。また描いているときは気づきませんでしたが、最初「さぼるね」と言われた森くんが最後本当にさぼっているのがいいなと思います。

「鳳凰記」

「七つの大罪」をテーマにしたコピー本に描きました。「傲慢」です。このごろは映画を多く見ていて、特に『Wの悲劇』(澤井信一郎監督)に感動して、その余波でというか、話が最初から最後まで頭に浮かんだので、それをそのまま描きました。劇場の名前を「早春ホール」にしているのは同じ澤井監督の『早春物語』からです。「平塚」という名字は広島市の平塚町からとっていて、その後も気に入って使っています。

「お祭りのひ」

2回生の初夏、部誌に描きました。初夏らしい! 五十嵐大介さんの『はなしっぱなし』(河出書房新社)を読み絵の上手さに感動したため、それまでの漫画に比べると描き込んでいます。途中で小学生が話している内容は、私が『台風クラブ』(相米慎二監督)を見たときとった感想メモから部分的に引用したもので、主人公がぼーっとしているのに小学生がやたら難しい話をしている、というイメージのシーンでした。

「てんし・あくま」

2回生の冬、漫研内で原作と作画とを分担して漫画を作るコピー本があり、それに参加したとき描きました。先輩にストーリーの大筋とキャラクターデザイン、それとクライマックスの1ページのネームを考えていただき、それをもとに全体を作って描いた漫画です。普段自分が描かないファンタジーな世界観やかわいいキャラクターを描くことができ、かなり気に入っています。

「なく」

3回生の初夏、学園祭で販売した部誌に描きました。この漫画はその後の描く・描きたい漫画の原点になったと思います。まだ自分でも把握しきれないなにかに偶然、手が触れた感じです。その「なにか」をもっと理解しながら、もっと洗練されながら、もっと上手になりながら、もっと描きたいです。

「楽しい未来」

3回生の秋、学園祭で販売した部誌に描きました。服を真面目に描くようになったのと、写植(パソコンで打った文字を印刷してそれを切り貼りしたものです)を使っているのとが新しい試みです。就職活動が楽しくなくて、未来のことをいろいろ考えていたのでこういう感じになったのかなと思います。

「表紙絵」

4コマ漫画と『ネオ処方箋』にも収録した「君の病気は(略)」については省略します。タイトルの『一階化粧品売場』は高野文子さんの『絶対安全剃刀』が大好きで、そういう漢字ばかりのタイトルにしました。赤っぽい色も『絶対安全剃刀』の背表紙の色をイメージしたのですが、結果的に、口紅ぽくなって正解だったと思います。

チェックのシャツは中森明菜さんが当時の写真で着ていたシャツで、色合いがとても素敵だったので同じものを選びました。ジャケットは記憶が曖昧ですが、たしかマルニ(か、そういう感じのブランド……)の昔のジャケットをインターネットで見て、それにしています。

だんだん絵はシンプルというか、線の少ないほうが好きになってきていて、そういう顔です。一人でもなんとかやっていきますけど、という女の子の絵を今後も描いていきたいです。